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2018年11月22日 (木)

ポピュリズムに翻弄され、迷走する野球の韓国代表

 プロ野球の韓国シリーズは、シーズン2位のSKが、2位とは14.5ゲームの差をつけ、ぶっちぎりで1位だった斗山を破り優勝した。SKの監督は、日本ハムの監督でもあったヒルマン。ヒルマンは、今シーズン限りの退団を表明していたので、有終の美を飾った形になった。

 そして韓国シリーズが終わって2日後になる1114日、かつては「野球国宝」と呼ばれ、中日でも活躍した宣銅烈が、韓国代表監督を辞任した。引責というより、気持ちが切れたと言った方が正確な辞任である。

 以前にも書いたが、ジャカルタ・アジア大会の野球競技で韓国は優勝したが、一部選手に対し、兵役逃れのための請託人選ではなかったかという疑いがもたれ、宣銅烈は国会の国政監査で、証人として尋問された。

 素人である国会議員の的外れの質問にも、ぐっとこらえて答えていた宣銅烈であったが、与党議員の「優勝は難しくなかったと思います」という叱責は、かなりこたえたようだ。

 確かに、日本は社会人野球の選抜チームであったし、台湾はプロ・アマ混成で、オールプロの韓国は、断トツの優勝候補であったことは間違いない。それでも、野球は波乱の多いスポーツであり、勝って当然というチームを預かる監督には、かなりのプレッシャーがかかる。

 それに、兵役免除の手段として使われているという批判があるにしても、現実問題として、アジア大会で優勝して、兵役を免除させることは、若い選手の選手生命にも関わる。さらに、アジア大会はシーズン途中に開催されたため、投手を酷使するわけにもいかない。そうした苦労を国会の場でバッサリ否定されたのだから、たまったものではない。

 さらに宣銅烈の気持ちを切らせたのは、同じく国政監査で国会に呼ばれた、コミッショナーに相当するKBO(韓国野球委員会)総裁である鄭雲燦の発言である。

 宣銅烈が普段、選手の状態をテレビ中継でチェックしていると発言したことへの感想を求められ、「宣監督の間違いだ。これは経済学者が市場に行かず、指標で分析して、政策を出すのと同じだ」と語った。

 韓国では、CATVなどでプロ野球の全試合が中継されるので、宣銅烈は、日常的にはテレビでみているが、要所要所では、球場に行っていたようだ。それは、監督それぞれのスタイルであり、少なくとも、国会の場でとやかく言われることではない。

 さらに鄭総裁は、宣銅烈が最初のケースとなる専任監督についても、「個人的には必要ないと思う」と語った。

 韓国ではこれまで、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)やアジア大会など、国際大会があるごとに、前年の優勝チームの監督を中心に、代表監督を選んでいたが、辞退する人が多く、絶えず難航していた。

 そのため1947年生まれで、脳梗塞の後遺症があり健康状態は良好ではないものの、頼まれれば断れないタイプの金寅植が、監督を務めることが多かった。

 しかし昨年開催されたWBCでは、1次ラウンドで敗退し、金寅植は代表監督を完全に離れることを表明していた。

 代表チームの運営を安定させるには、専任監督の選出が必要であり、過去にも何度か、代表監督の候補に名前が挙がっていた宣銅烈が、初代の専任監督に就任するのは、自然な流れであった。

 KBOの鄭総裁は、ソウル大の総長などを歴任した経済学者で、李明博政権時代には、国務総理も務めた。その一方で、熱狂的な野球ファンとして知られ、今年1月からKBO総裁に就任していた。

 専任監督の選定は、前任のKBO総裁の時代の話であっても、選出に至る経緯や必要性については、知らないはずがない。国政監査での発言は、国会議員に気を遣った、政治的な発言とみられている。

 ネット社会、野球の代表チームに様々な意見が寄せられるのは当然のことであり、ファンあってのプロ野球である以上、KBOも、そうした声を無視できないのは確かだろう。けれどもそこに、世論に悪乗りした国会議員がしゃしゃり出て、介入したことで話がおかしくなった。

 来年のシーズン終了後には、東京五輪の予選を兼ねたプレミア12が開催される。ここで五輪出場を決められなければ、さらに最終予選があり、東京五輪になる。

 こうした国際大会の監督を誰が務めるのか。人選は難航するだろう。前年優勝チームになるSKのヒルマン監督は、既に韓国にはいない。他球団の監督にしても、所属チームと代表チームの監督を兼ねることは負担が大きく、引き受ける人はそういないだろう。

 球団の監督以外で、実績があるのは、北京五輪の優勝監督である金卿文くらいか。その金卿文にしても、今シーズンの途中、成績不振でNCの監督を事実上更迭されたばかりだ。

 誰が代表監督の候補になるにしても、韓国野球の絶対的なスターであった宣銅烈に対する仕打ちをみていれば、二の足を踏むのではないか。ポピュリズムの政治家に振り回され、韓国プロ野球のトップもそれに迎合したことで、野球の韓国代表は、当分迷走することが予想される。

 

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