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2018年6月16日 (土)

東京五輪と南北統一チーム

 史上初の米朝首脳会談は終わった。具体性に欠けるなど、真の評価はこれからといったところだが、予測不能な2人の会談が無事終わっただけでも、一歩前進と言えるのではないか。

 それにしても、正月に金正恩委員長が平昌五輪に参加の意向を示して以降、平昌五輪を挟んでの状況の変化の激しさには驚かされる。

 目先の変化すら予想が困難なのに、2年先の状況など想像できない。それでも、8月のアジア大会を軸として、スポーツを通しての南北交流は進むだろうし、その動きは、東京五輪に向けても続くのではないか。

 拉致問題があるため、日本人の対北朝鮮感情は厳しいが、ホスト国として統一チームなど、南北のスポーツ交流の動きに、日本も傍観的な立場でなく、積極的に関わるべきではないか。

 スポーツは南北の数少ない人的交流の機会であり、持続的に行うことができれば、意味のあるものになる。

 また、2020年の東京五輪に北朝鮮が参加し、一部だけでも統一チームが結成されれば、歴史的な意味もある。

 実は1964年の東京五輪でも、現在とは全く違う事情で、南北統一チームの議論がされていた。

 韓国は1947年に「KOREA」の呼称でIOC(国際オリンピック委員会)に加盟している。その10年後、北朝鮮もIOC加盟の意思を表明するが、IOCはKOC(大韓オリンピック委員会)と協議して、南北統一団体として五輪に出場することを勧めた。東西ドイツは、1956年のコルチナ・ダンペッツオの冬季五輪から64年の東京五輪まで統一選手団で出場している。

 南北コリアに関しても、歌は「アリラン」、旗は朝鮮半島の地図と、今日の統一チームでも適用されている方式について、この時代、既に合意していたが、選手団の構成で折り合いがつかず決裂し、東京五輪には南北それぞれ、単独での出場になった。

 北朝鮮は男女のバレーボールのアジア予選などには出場したが、一部の選手の参加資格問題が解決せず、選手団は東京まで来ながら、開幕直前にボイコットし、帰国している。

 2020年の東京五輪で北朝鮮が参加し、一部でも、統一チームが結成されれば、1964年から半世紀余りを経た時代の変化を物語る、象徴的な出来事になるのではないか。

 ただし、統一チームを結成するにあたって重要なことは、競技や大会の規則の枠の中で行われなければならないということだ。先の世界卓球選手権の大会途中で結成された統一チームや、平昌五輪の女子アイスホッケーのように、エントリーの枠を拡大しての結成は認めるべきではない。

 他の参加国に不公平感、不公正感を与えないこともホスト国の役目の一部であり、その意味でも日本は、統一チームに積極的に関わる必要がある。他国の反感を買わないことは、持続可能な南北交流を進めるうえでも重要である。

 開会式での南北合同入場は実績もあり、大会直前の合意でも構わないだろうが、統一チームは、時間を要する。バレーボールやバスケットボールなどは、統一チームを結成したとしても、実力的に韓国中心となるのだろうが、問題となるのがサッカー、特に女子のサッカーである。

 北朝鮮も韓国も、世界的にみてもかなり高いレベルにあり、練習を積み、チームとして機能すれば、メダル争いに加わる可能性もある。

 しかしながら、統一チームを結成するのであれば、予選の段階から結成するべきである。もし南北とも出場権を得れば、出場権を1枠放棄しなければならない。

 もしどちらか片方が出場権を得て、統一チームを結成すれば、予選で敗れたチームの選手を出場させるために、勝ったチームの選手が出場できないこともある。

 それに、南北がそれぞれ参加するのと、統一チームで参加するのとでは、予選に参加する他のチームの戦い方も変わってくる。それゆえ予選の後、統一チームを結成すると、問題が生じる可能性がある。

 そう考えると、東京五輪まであと2年あるとはいえ、統一チームの結成を目指すのであれば、そんなに時間はないはずだ。

 

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