« 東京五輪と南北統一チーム | トップページ | 久々にみた韓国の魂のサッカー »

2018年6月27日 (水)

投球数105球で強制交代になる韓国の高校野球

 崖っぷちに立たされていたアルゼンチンが、やっとのことで決勝トーナメント進出を決めるなど、W杯ロシア大会は序盤から劇的な展開になっている。

一方連敗スタートの韓国は、可能性はほとんどなくなっているものの、奇跡の中の奇跡を求めて、今日ドイツ戦に臨む。

 負傷者続出、強豪揃いのF組に入ったことなど、大会前から苦戦は予想されていたものの、スウェーデン戦、メキシコ戦ともPKが敗戦に結びつくなど、ゴール前での判断ミスが響いた。ドイツ戦ではチームリーダーの奇誠庸までも負傷のため出場できないなど、状況はさらに厳しくなっているが、アジアのチームとしての存在感は示してほしい。

 連敗スタートの韓国だが、2002年の大会から続く、街頭応援の熱気は相変わらずだ。ソウルでは中心部の光化門や市庁前の広場や、江南のCOEXがある永東大路などは、赤いシャツを着たサポーターで埋め尽くされた。特にメキシコ戦は、深夜0時試合開始であったが、地下鉄が午前3時近くまで延長運転をしたというから、4年に一度の街頭応援は、すっかり国民的行事として定着している。

 こうしたW杯の熱気の中の625日、韓国のプロ野球では、新人ドラフトの1次指名が行われた。これは、各球団のフランチャイズ地域の高校の選手(卒業生を含む)を1人、優先指名できる韓国独特の制度だ。

 10球団のうち8球団が投手を指名(うち1人は外野手兼用)。サイドハンドから150キロ近い速球を投げる釜山・慶南高校のソ・ジュノンがロッテに、左腕ナンバー1と評判の光州東成高校のキム・ギフンがKIAに予定通り指名された。

 指名された10人のうち大学生は1人だけ。高校生投手の需要が圧倒的に高い。

 しかし、5月に今年度最初の全国大会である東亜日報主催の黄金獅子旗全国高校野球大会が開催されたが、各校ともエースという存在は、ほとんどいなくなっている。大会MVPは優勝した光州第一のチョ・ジュニョク投手が受賞したが、チョは、決勝戦では投げていない。

 高校生投手の球数制限については1年前にも書いたが、その時は検討段階であった事項が、今年から本格的に実施されたからだ。

 韓国の高校野球の球数制限は、75球以上投げると4日間は休まなければならず、105球を超えたら、カウントに関係なく、交代しなければならないというものだ。よほど効率よく投げない限り完投は不可能であり、準々決勝以降で75球以上投げれば、大会中は登板できなくなるのだから、かなり厳しい。

 第100回の夏の大会の地方大会も始まっている日本の高校野球でも、投手の故障防止は重要な課題になっているが、韓国のような球数制限は、まず実施できないだろう。

 日本では、プロを目指しているのは一握りの選手であるのに対し、韓国の高校野球は、プロを目指すことが前提になっている。また球数制限は、選手のためという目的とともに、プロ側の意向も反映しているようだ。

 韓国ではプロ野球が始まる前は、高校野球人気が非常に高かった。フランチャイズ地域の高校生の優先指名も、最初は高校野球人気に便乗するという目論見があった。しかしながら、プロ野球人気の高まりともに高校野球の人気は落ち込んだ。野球部の運営資金に苦しむ学校も多く、プロ球団は、フランチャイズ地域の高校を支援している。1次指名は今では、その見返りという意味もある。

 また今回指名されなかった選手は、911日に行われる予定の2次ドラフトでの指名を待つ。

 2次ドラフトは、2年前までは8月中旬に行われていた。プロに指名された選手は、8月末から9月初めに行われるU18のアジアもしくは世界大会で韓国代表に選ばれても、プロ側の干渉を受け、監督が、自由に投手起用ができないこともあった。

 2年前にアマチュア側の団体である大韓野球・ソフトボール協会の会長に、ヘテ、サムスン、ハンファの監督を歴任し、韓国プロ野球最多勝監督でもある金応龍が就任したことで、アマチュア側も発言力を得て、2次ドラフトを、国際大会の後に開催するようになった。

 投手の故障に関しては、球数だけが問題ではない。投球前後のケア、投球フォーム、体のバランス、柔軟性など、様々な要素が絡んでいる。それに、投手はピッチングマシンではない。試合中、ピンチで苦しい場面を乗り切ってこそ、投手として成長できる面もある。

 球数制限の下で育った韓国の投手が、今後どう成長していくか。経過を1年、2年ではなく、長い目でみていく必要がある。

 

« 東京五輪と南北統一チーム | トップページ | 久々にみた韓国の魂のサッカー »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2011181/73756113

この記事へのトラックバック一覧です: 投球数105球で強制交代になる韓国の高校野球:

« 東京五輪と南北統一チーム | トップページ | 久々にみた韓国の魂のサッカー »