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2018年5月 5日 (土)

強引過ぎた女子卓球・南北合同チーム

 5月4日に行われた卓球の世界選手権、女子団体の準決勝、日本対南北合同チーム「コリア」の一戦の中の、石川佳純と北朝鮮のキム・ソンイの試合は、手に汗握る熱戦であった。最終第5ゲームの終盤、3回ものエッジボールで失点する不運にもかかわらず、盛り返して勝利した、石川の精神力は見事だった。

 準々決勝の韓国・北朝鮮戦を行わず、急遽結成された南北合同チームは、コリアオールスターチームと言っていい。中国から帰化した韓国の新エース・田志希、2009年に15歳で韓国代表に選ばれた梁夏銀に、北朝鮮のキム・ソンイが加わった。

 もし準々決勝で南北対決があり、韓国が勝っていたら、キムの位置には長く韓国代表のエースとして活躍した徐孝元が入っただろう。キムも徐も、日本が苦手とするカットマン型の選手だ。それでもキムの方が、攻撃力があるだけに、日本としては嫌な相手だったはずだ。

 卓球の南北合同チームといえば、91年の千葉で開催された世界選手権での、女子団体の優勝を思い出す。緊張が続く韓国と北朝鮮が一つになり、強豪・中国を破っての優勝は、スポーツの枠を超え、多くの人を感動させた。

 金大中、盧武鉉大統領の「太陽政策」により、南北融和ムードが高まった00年代前半にも、統一チームを結成するなら卓球ではないかということで、統一チーム結成を希望する声が多くあった。

 卓球、特に女子の卓球で南北合同チームを結成しやすいのは、韓国と北朝鮮で力の差がそれほどないうえに、ともに世界の上位にあること。しかも91年の世界選手権には団体戦にもダブルスがあったが、現在はシングルスのみなので、チームプレーをさほど考慮しなくてもいいということがある。

 さらに韓国の梁夏銀、徐孝元、北朝鮮のキム・ソンイなどトップクラスの選手は、国際大会でしばしば会っており、顔なじみであることも、合同チーム結成には有利である。

 ただそうであるにしても、今回の合同チーム結成はあまりに強引であり、問題が多い。

 そもそも今回の合同チームは、準々決勝でたまたま南北対決が組まれたために生じた、偶然の産物でもある。準々決勝はメダルがかかった重要な試合であり、各国とも体力を消耗し、手の内をさらすことにもなる。韓国は合同チームを結成することで、1次リーグを1位通過した段階でメダル確定ということになる。

 言語や文化が異なる人たちが集まって行われる国際大会は、公平、公正の原則に基づいた、ルールや大会規定を守ることで運営されている。

 南北融和の雰囲気を大事にしたいというのであれば、今回のケースでは、まず韓国と北朝鮮がしっかり試合をする。そのうえで敗者は勝者を民族の代表として、次の試合はスタンドから勝者を応援するということが最も相応しいのではないか。

 今回の南北合同チームは、427日のいわゆる「板門店宣言」で、国際競技に韓国と北朝鮮が共同で参加することが盛り込まれたことに起因するという。確かに首脳同士の合意の意味は大きい。そして「板門店宣言」から、大会まで時間がなかったのも確かだ。

 しかし平昌五輪以後、南北の融和ムードが高まり、韓国のアイドルグループなども含めた芸術団の平壌公演も行われている。世界選手権の開幕前に、合同チームに向けて話し合う時間は十分にあったはずだし、合同チーム結成の障害は、平昌五輪の女子アイスホッケーより、はるかに少ないはずだ。もし大会が始まる前に南北合同チーム結成されていたら、受け取り方はかなり違ったのではないか。

 南北のトップが会談をし、芸術団の相互訪問が行われるようになったといっても、実際に韓国と北朝鮮が交流できることは限られている。それだけに、南北が力を合わせて試合をする合同チームは、意味があると思う。しかしそれが本当に意味を持つためには、世界の人たち、特に大会に参加するアスリートから受け入れられるものでないといけない。強引なやり方は、合同チームへの拒否感を引き起こす可能性がある。

 合同チームは特例だけに、しっかりと筋を通すことが重要である。

 

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