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2018年4月12日 (木)

韓国で二刀流は出現するか?

 エンゼルス・大谷翔平のメジャーリーグでの活躍は、韓国でも大々的に報じられている。大谷の名が韓国で最初に知られたのは、花巻東高校時代の2012年、ソウルで開催されたU18ワールドカップに日本代表として参加した時だった。この時は、投手としては調整不足で、もっぱら野手・大谷としての注目であった。

 日本ハム球団が、高校から即アメリカに行くことを希望していた大谷を説得する材料に、同じように高校からアメリカに行った韓国選手の失敗事例を用いた話もよく知られている。そして、日本ハムでの二刀流の活躍にも、韓国では高い関心が持たれていた。

 今年韓国プロ野球のktに入団した姜白虎は、打者としての素質が評価される一方で、150キロもの速球を投げることから、二刀流の起用も検討されていた。

 投打の二刀流は、韓国では「投打兼業」と表現されるが、この「投打兼業プロジェクト」には、「投手と打者では使う筋肉が完全に違う」などの理由から、否定的な意見も多く、結局外野手としてスタートした。

 姜はこの春、高卒ルーキーながら、開幕戦の初打席でいきなり本塁打を放った。これは高卒新人で韓国プロ野球最初のことである。

 身長184センチ、体重98キロと上体筋肉質の体は、やはり二刀流よりも、打者に専念した方がいいように思う。

 2015年に大阪、兵庫で開催されたU18ワールドカップの韓国代表には、二刀流の選手がいた。現在NC所属の朴俊泳は、遊撃手である一方で、150キロ近い速球を投げ、投手としても活躍していた。当時既にNCに投手として指名されていたが、本人に二刀流について聞くと「僕には無理です」と言い、大谷については、「あの人は天才です」と語っていた。

 朴はプロ入り後、肘を痛めて手術し、野手に転向した。現在手術のリハビリ期間でもあり、その間に入隊し、兵役問題を解決するという。

 韓国を代表するホームラン打者である李承燁は、高校時代は投手として有名であった。肘を痛めたため打者に専念したが、サムスンに入団した95年の秋に監督に就任した白仁天から、「ギャラを倍にするから、投手もやってみないか」と言われたという。日本のプロ野球でも活躍した白が、サムスンの監督に就任した頃には肘の状態も良くなっており、いい回転の球を投げていたが、「断られたよ」と、かなり前に白は語った。

 2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本打線を苦しめた奉重根(LG)は、高校時代は打者としての評価が高かった。高校からアメリカに渡り、投手に専念した。それでも、2009年のWBCの後、本人に聞くと、「打者としてやりたい気持ちもありますよ」と答えていた。高校時代にイチローに憧れ、背番号は今も51番だ。

 レンジャーズの外野手として活躍している秋信守は、高校時代は韓国の高校球界を代表する投手であった。アメリカに行かなかったら、投手としてプレーしていたはずだ。

 韓国プロ野球草創期のホームラン打者で、ヘテ(現KIA)の黄金時代の中心メンバーである金城漢は、プロ野球元年の1982年に本塁打13本で、投手としても10勝している。金は86年も1試合だけ投げているが、二刀流は、まだアマチュア時代の雰囲気が残っていた最初の数年だけである。

 日本でも、水野雄仁、桑田真澄、松坂大輔など、高校時代は打者としても注目された投手も少なからずいる。韓国に現在二刀流がいないのは当然のことで、大谷は常識を超えた例外中の例外であることは確かだ。では今後は出てくるかと言われれば、大谷の活躍に刺激される野球少年はたくさん出るだろうが、韓国では難しいのではないか。

 韓国では投打の二刀流以上に出現が困難なのは、今年東大から日本ハムに入った宮台康平のような文武の二刀流である。

 今は是正の動きがあるが、韓国ではスポーツをする人は徹底してスポーツだけで、勉強する人は徹底して勉強だけというケースが多い。両立を目指すより、人生の進むべき道に直結した方に集中すべきだという考えだ。

 野球部員でソウル大に入学する人も、いるにはいるが、ニュースになるくらいのレアケースで、選手としてはさほど有名ではない。

 公務員ランナーとして有名な川内優輝にしても、韓国の市民ランナーの憧れの存在ではあっても、専門家はマラソンに専念すれば、もっとすごい選手になるはずだという見方が多い。

 AもBも80点か、Bは捨ててAは90点、のどちらかを選ぶとすれば、韓国の指導者の多くは、後者を選ぶのではないか。韓国では、バランスよく力をつけるよりも、より上位を目指せる方に集中するべきだという考えが、一般的だからだ。両方できることに意味を見出すよりも、特化した部門でより高いレベルを目指すべきだという発想では二刀流が出現するのは困難で、韓国で二刀流が出るかどうかは、結局指導者次第である。

 

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