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2018年4月26日 (木)

国際試合では韓国人、国内試合では外国人のバスケ帰化選手

 韓国のバスケットボール界は、センターの駒不足が悩みの種であった。そうした不安を解消するため、身長199センチのアメリカ人、リカルド・ラトリフを特別帰化させた。帰化とともに、羅健児(ラ・ゴナ)という韓国名も名乗っている。

 NCAAバスケットボールの名門・ミズーリ大でプレーしたラトリフは、NBAからは声がかからず、2012年に韓国のプロバスケットボール(KBL)の蔚山モービスに入団し、15年からはソウル・サムスンに移籍している。2015年と17年に外国人選手賞を受賞するなど、韓国のプロバスケットボールを代表する外国人選手であった。

 そして今年特別帰化をしたわけだが、特別帰化とは、スポーツなどの分野で特別な才能を有する者に、元の国籍を残したままでの帰化を認める制度で、平昌五輪に出場したアイスホッケーの選手なども、この制度を利用して、韓国代表になっている。

 国際大会で好成績を挙げるため、外国人選手を安易に帰化させることに問題があるのは確かだ。ただ卓球では、中国系の選手が世界各地に活動しているように、今のスポーツ界の趨勢になっているのも間違いない。

 帰化した先の国に、ほとんど行ったことがないというケースまである中で、ラトリフの場合、韓国のプロリーグで活動しているのだから、問題は少ない方かもしれない。

 ラトリフは2月にはバスケットボールのワールドカップ・アジア予選に韓国代表として出場している。そして8月にジャカルタで開催されるアジア競技大会にも、韓国代表で出場する見込みだ。

 ところが423日、韓国・KBSの午後9時のニュースで、耳を疑う報道があった。韓国人になったはずのラトリフが、韓国のプロリーグでは外国人選手扱いされるというのだ。KBLでは、各チーム外国人選手は2人保有で、2人同時に試合に出ることはできない。したがって、ラトリフの出場機会も制限されるということだ。

 KBSの取材に対して、KBLの事務総長も矛盾を認めている。しかし、ラトリフが一般の韓国人選手と同じように活動することで、チーム間の戦力不均衡が生じることを防ぐための苦肉の策ということだ。

 けれども国際試合では、その実力を発揮することで、韓国チームの強化を図り、国内では、その実力ゆえに外国人扱いして、活動の場を制限するというのは、あまりに自分勝手なご都合主義ではないか。

 もちろん逆のケースで、外国籍であっても、永住者や長期在留者に関して、国内リーグでは外国人選手扱いをしないということはあるだろう。日本のプロ野球では、留学生も含め、日本の学校を卒業した者は、外国人選手扱いしないことになっている。

 しかし今回のように、国際試合では韓国人、韓国内の試合では外国人扱いというのは、かなり問題がある。最近はあまり言わなくなったが、韓国では外国人選手のことを「傭兵」という。国際試合だけ韓国人になるのであれば、まさに「傭兵」ではないか。国際試合で韓国人なら、韓国内でも当然韓国人だろう。

 日本も韓国も少子高齢化が急速に進んでいる。人口の減少が確実な中で、かつては「単一民族」であることにこだわってきた韓国は今、「多文化社会」に舵を切っている。けれども、多文化社会への移行の必要性は感じていても、受け入れに抵抗があったり、外国出身者への差別があったりするのが実情である。

 外国人をどう受け入れるのか。帰化選手の活動が進むスポーツは、韓国社会の先行指標でもある。

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