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2017年6月 7日 (水)

テニスでも新たな日韓ライバル物語が始まるか?

 男女を問わずバレーボールの日韓戦は、強烈なスパイクの打ち合いになる欧米のチームの試合と異なり、拾い合いのレシーブ合戦になることが多い。種目が違っても、ネットを挟む競技は、似たような傾向になるのか。錦織圭と鄭現の一戦は、激しい粘り合いの試合になった。

 鄭現は、「テニスの神童」として、韓国ではかなり前から知られていた。最近は随分たくましくなった感じがするが、初めてメディアに取り上げられたころは、やせた体に眼鏡が印象的だった。外見はテニスプレーヤーらしくないため、むしろ目立っていた。2013年にウィンブルドンのジュニアのシングルで準優勝したことで、期待が一気に高まっていた。

 今回全仏オープンで3回戦の相手が錦織圭に決まった時、韓国のメディアは、「運命の韓日戦」と騒ぎ、ポータルサイトの検索ランキングでは、錦織圭の名が上位にランキングされた。

 とはいえ、錦織の世界ランクは9位。鄭現は67位と、歴然とした差がある。日韓対決といえども、韓国は騒ぎ過ぎのような気がした。

 第1、第2セットは鄭現の粘りに錦織は苦戦を強いられたものの、しっかりものにした。しかし、第3セットはタイブレークの末に鄭現が取ると、流れは完全に鄭現に傾いた。

 第4セットは鄭現がリードする展開に、錦織はイライラが募り、ラケットを地面に叩きつける場面もあった。錦織危うしの状況で雨が降り出し、試合は中断し、翌日に持ち越された。

 再開された試合では、フルセットに持ち込まれたものの、フルセットには慣れている錦織が落ち着いて試合をし、勝利をものにした。それでも試合後錦織が「雨がなければ100%負けていた」と語るように、雨に助けられた勝利だった。65日付の韓国の東亜日報は、「よくやった鄭現 雨が薄情だ(憎い)」と、演歌の歌詞のような見出しを掲げたが、気持ちは分かる。

 鄭現が注目されているといっても、韓国ではテニスはマイナースポーツだ。そんな韓国のテニスの扉を開いたのは、2007年に世界ランクが36位になった李亨澤だった。李亨澤は2014年の仁川アジア大会で、アスリート出身では聖火の最終走者として、聖火台につながるスタジアムの階段を上った。その時、テレビ中継のアナウンサーが、練習する場所がなく、水を抜いたプールで練習をしたという逸話を紹介していた。そうした韓国テニスのパイオニアである李亨澤が2009年に引退した後台頭してきたのが、鄭現であった。

 今回、錦織に善戦したことで、鄭現の韓国での知名度は一層高まったが、同時に錦織の存在も韓国でより有名になった。

 歴史的に様々な問題があり、国民感情も複雑である日本と韓国の試合は、歪んだナショナリズムと介在すると、見たくないトラブルが起きることもある。

 それでも日韓戦は関心が高いだけに、双方のスポーツ界にとって競技の活性化のまたとないチャンスでもある。また反日のイメージが強い韓国であるが、サッカーの中田英寿、野球のイチローら、世界で活躍する日本選手のファンや敬意を持っている人も少なくない。キム・ヨナの存在があるため大きな声で言えなくても、「浅田真央のファンです」と言う韓国人もいる。

 鄭現の場合まだまだではあるが、今後順位を上げていけば、韓国のテニス人気も高まるだろう。そこに錦織の存在は、さらに関心を高める要素になるし、それは日本にも影響を及ぼすことになるだろう。

 錦織が27歳であるのに対して鄭現は21歳。それだけ鄭現の伸びしろは大きい。しかし韓国では様々な競技種目において、20歳前後までは有望視されていても、そこから先で伸び悩む選手が多い。2日かがりで繰り広げられた錦織と鄭現の一戦が、日韓の新たなライバル物語の始まりになるかどうかは、鄭現の成長にかかっている。

 

 

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