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2017年6月15日 (木)

早くも観客動員論が出ている平昌五輪と誕生1カ月の文政権

 平昌五輪の開幕まで8カ月足らずとなり、チケットも第1次販売が終わったが、韓国の金メダルが期待されるスピードスケートのショートトラックなど、一部の競技を除けば、チケットの売れ行きは悪いようだ。これは予想通りではある。しかし66日の韓国KBSのニュースをみて、もうそんな話が出ているのかと、少々驚いた。

 ニュースの内容は、ざっと次の通り。チケットの売れ行き不振を受け、大会組織委員会は、チケットが売れ残った場合、生徒や地域住民に入場券を提供する、いわゆる動員を検討している。しかしそうすると、既に購入した人が損することになり、公平性の議論も起きている、といったニュースである。

 これから2次販売もあるというのに、早くもタダ券を配るという話である。

 現実問題として、観客動員は避けられないだろう。平昌五輪よりもはるかに盛り上がっていた2002年のサッカーW杯ですら、韓国戦以外は空席が目につき、昼間の試合では、学校単位で動員をかけていた。子供たちに声をかけると、「タダなんですよ」と、嬉しそうに話していたのが、印象に残っている。

 韓国で開催され、先日幕を閉じたU20サッカーW杯も、韓国が決勝トーナメントの1回戦で敗れたため、ニュース映像をみる限り、スタンドには空席が目立っていた。

 平昌五輪の場合、盛り上がりに欠けていることはもちろんであるが、加えて、宿泊施設の不足の問題もある。ホテルだけでなく、ラブホテルや民泊などを含めても、絶対数が足りない。高速鉄道のKTXが開通すれば、ソウルとは1時間の距離になるので、ソウルから日帰りという人も多いだろう。学校や公共施設を開放して、宿がない人に、多少不自由でも、寒さはしのげて、横にはなれるくらい施設は用意しておいた方がいいのかもしれない。

 これから夏が終わり、寒くなれば、五輪ムードも少しは高まるかもしれない。ただ、そうした人たちも、チケット無料配布の話を聞けば、購買意欲は損なわれるだろう。でもそうした買い手は期待できないほど、平昌五輪は盛り上がりを欠いているということなのか。

 なお、文在寅政権が誕生して1カ月になる。文大統領は大会成功のため、政府が積極的に関わっていくよう指示している。12日には国際サッカー連盟のインファンティノ会長に、2030年のW杯を韓国を含め、日本、中国、北朝鮮の共同開催案を提案するなど、実現の可能性はかなり疑問だが、スポーツ大会に積極的な姿勢をみせている。

 けれども、実働部隊となるスポーツの所轄官庁の文化体育観光部はまだ落ち着かない。

 朴槿恵政権下でスポーツを巻き込んでの崔順実の不正に中心的な役を果たし、「スポーツ界の大統領」と呼ばれていた金鍾文化体育観光部第2次官の後任に、ノ・テガンが任命された。

 20135月、乗馬の韓国選手権で崔順実の娘チョン・ユラを2位にしたことに崔順実が猛抗議。大韓乗馬協会と崔順実側が対立した時、当時文化体育観光部の体育局長であったノ・テガンが調査に入り、双方に問題があるという結論を出した。これに朴槿恵大統領(当時)が激怒し、「本当に悪い人だ」と、ノ・テガンを公職から追放した。これが韓国社会を揺るがした崔順実ゲートの出発点になった。

 ノ・テガンが文化体育観光部のスポーツ担当次官である第2次官に任命されたということは、4年前の状態に戻ったともいえる。

 とはいえ、平昌五輪も、スポーツ行政も、4年前とは情勢が変わっている。さらに文化体育観光部は崔順実ゲートの震源地だけに、事情はどうであれ、現在の職員の中に何らかの形で加担した人も少なくない。今後末端の人事などで一波乱ありそうな気配だ。

 文化体育観光部が約2カ月前に行った世論調査では、平昌五輪に関心があると答えた人は、わずか35.6%だった。高まらない国民の関心に、落ち着かないスポーツ行政の足元。

 東京五輪も懸念材料が多いが、平昌五輪は開幕までの時間が少ないだけに、より深刻だ。

 

 

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