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2017年2月14日 (火)

平昌五輪盛り上がりのカギを握る元子役スター

 平昌五輪まであと1年。盛り上がりには欠けているが、盛り上げようとはしている。そしてテストイベントを通して、五輪本番の見どころがみえてきた。

 210日、五輪会場の江陵オーバルで行われたスピードスケートの世界距離別選手権、女子500メートルは、今季好調の小平奈緒がこの種目、五輪2連覇の李相花を抑えて優勝した。小平が今季の好調を維持し続けるか。地元のリンクで五輪3連覇を狙う李が巻き返すか。ベテラン2人の日韓対決は、平昌五輪でも関心を集めるに違いない。

 日韓対決はナショナリズムを煽る一方で、大会の盛り上げに大きく寄与しているのも確かだ。そうした意味では、この大会から採用されるマススタートも注目だ。12日の世界距離別選手権の女子の競技では、韓国のキム・ボルムが1位、高木菜那が2位だった。

 韓国はショートトラック出身の選手が多いので、コーナリングや、選手同士の体が接するような競り合いに強く、日本の場合、スケート国体で、ルールは異なるが、似たような種目があり、慣れている。さらに、高木菜那、美帆姉妹のコンビネーションも強みだ。

 さて五輪本番ではどうなるか。結果もさることながら、気になるのは大会全体の客の入りだ。冬季スポーツは、韓国ではなじみの薄い競技が多いからだ。テストイベントでは、フィギュアスケートの四大陸選手権はチケットを発行しているが、他は無料の大会が多いようだ。悪く言えば、動員しているということになるが、韓国の場合無料でも、まず観て、知ってもらわないことにははじまらないという事情がある。

 9日からは、韓国内分の五輪チケットの予約販売も始まった。1次予約は423日まで行い、予約が多い場合、抽選が行われる。9月からは、2次販売が行われ、これは先着順になる。そして、10月から店頭販売も始まる。

 韓国人の傾向からして、1年も前にチケットを買う人はそう多くないだろう。2002年のサッカーW杯の時も、日本側では、チケット獲得競争が繰り広げられたが、韓国側の動きは鈍かった。大統領選挙がいつ行われるかにもよるが、今回も、一般の人の関心が高まってくるのは、野球シーズンが終わりに差し掛かり、フィギュアスケートのグランプリシリーズなど、冬季スポーツが動き出す、秋以降ではないか。

 チケット販売にもつながる、大会の盛り上がりに欠かせないのが、スター選手の存在である。現在は、現役を引退しているキム・ヨナが、盛り上げ役を1人で担っている感じだ。

 かつての韓国では、スター選手の条件は、結果を残していることであり、それに、苦労話、家族愛の話などが加われば、十分にスター物語ができた。しかし今は、実績もさることながら、重要なのは華やかさである。

 2012年のロンドン五輪や昨年のリオ五輪の韓国選手団の顔的な存在は、間違いなく新体操の孫延在であった。朴槿恵大統領のスキャンダルの中心人物である崔順実の側近が制作を手掛け、いわくつきになったヌルプム体操の披露会に参加したことで非難の矢面に立たされたが、「新体操のキム・ヨナ」と呼ばれ、アイドルのような顔立ちは、華があった。

 さて平昌五輪に出場する可能性のある韓国の現役選手で、そうした存在はいるだろうか。スピードスケートやショートトラックなどで、金メダルが有望な選手は複数いる。しかしながら、スター性や華やかさには、失礼ながら欠けている気がする。

 そうした中、男子フィギュアスケートに、そうした可能性のある新星が現れた。2001年生まれ、まだ15歳の車俊煥である。昨年のジュニアのグランプリファイナルで3位に入り、平昌五輪への期待がにわかに高まっている。

 車は、もともと子役スターであった。10年前、韓国の国民的菓子であるチョコパイのCMに出演し、注目されていた。小学校2年生の時に、家の近所のスケートリンクでフィギュアスケートの指導を受けてから、フィギュアスケートの選手の道を進むようになった。15歳の今も、アイドルのような顔立ちは健在である。

 韓国ではかつて、フィギュアスケートは女性がするものとして、男子の選手はほとんどいなかった。ところが、キム・ヨナの出現により、フィギュアスケート自体への認識が変わり、男子の有望選手も出現するようになった。その代表が、車俊煥だ。

 もっとも韓国ではトップであっても、世界的にみれば、ジュニアの3位である。五輪のメダル圏の実力には開きがある。それでも、車を指導しているのは、かつてはキム・ヨナ、現在は羽生結弦のコーチであるブライアン・オーサーであり、実力も向上している。

 次のシーズンからは、シニアの舞台に挑戦する。まずグランプリシリーズでどのような結果を残すか。その活躍ぶりは、平昌五輪の盛り上がりにも影響を及ぼすのではないか。

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 平昌五輪開幕1年となった29日、五輪会場でもある龍平アルペン競技場で行われた韓国の国体のスーパー大回転の競技で、コースアウトした選手が、木にぶつかり、重傷を負った。通常、コースの周りには、危険防止のネットが張り巡らされているが、積雪のため、ネットが低くなっていたという。

 また11日には、フィギュアスケート会場で、荷物運搬用のリフトが故障し、作業員が50分ほど閉じ込められた。

 2014年の仁川アジア大会では、競技会場の体育館が雨漏りするなど、韓国での大会を取材していると、いろいろなトラブルに遭遇する。それでも、韓国は国際スポーツ大会の開催経験は豊富であり、何とか対処してきた。

 しかし冬季スポーツでは、危険を伴うものも多いだけに、一つの事故が、大事故に発展する可能性がある。安全性に関しては、テストイベントの段階から細心の注意を払い、しっかりやらないと、深刻な問題が起こりかねない。

 

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コメント

車俊煥選手は、子役スターからフィギュア選手になったという話を読んで、日本の本田望結を連想しました。まあ、ここは兄妹そろってすごい家庭で、姉の本田真凛は、平昌オリンピック出場が可能な年齢ですけど、他に同年代のライバルが多いから、平昌出場が実現できるのかは最後まで分かりませんね。

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