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2017年1月24日 (火)

全北審判買収事件、大甘裁定のKリーグ、出場権取り消しのACL

 昨年サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制した全北は、今年もACLに出場することになっていたが、アジアサッカー連盟(AFC)は18日、昨年発覚した審判買収事件を理由に、出場権を取り消した。

 問題となったのは、2013年、全北のスカウトが、審判2名に対して、判定に手心を加えるよう、総額500万ウォン(約50万円)を渡した事件で、このスカウトは昨年、スポーツくじ(TOTO)を規定した国民体育振興法違反により、懲役6か月、執行猶予2年の判決を受けている。

 今日のKリーグには、重大な違反行為があった場合、除名処分まであるが、審判買収があった2013年は最高で下部リーグへの降格だった。事件の重大性を考えれば、当時の規則の最高刑である下部リーグ降格か、それに準ずる重い処分が下されると思われていた。しかしKリーグの賞罰委員会が昨年の930日に下した処分は、勝ち点9の減点と、罰金1億ウォンという、極めて甘いものだった。

 この甘い決定に、韓国のサッカーファンからも、非難の声が相次いだ。甘い処分の理由について同委員会は、「額が少なく、球団が直接関与した証拠がないためだ」と語っている。しかし、額や、組織的か個人の単独かという問題以前に、審判を買収したという事実そのものが重大であるはずだ。

 もちろん、不祥事があった時、その処分はできるだけ当該者に限定するべきで、関わっていない選手の被害は最小化するべきだとは、原則として思う。けれども審判買収のような問題は、例外である。

 処分が下された当時、全北は2位と勝ち点⒕の差をつけて、首位を独走していた。9点の減点でも、そのまま優勝する可能性すらあった。昨年のKリーグは、最終戦でFCソウルが全北を破り21107分けで勝ち点70。敗れた全北は20216分けで本来なら勝ち点76となるところが、9点減点で勝ち点67となり、FCソウルが逆転で優勝した。それでも全北は2位で、今年のACLの出場権を得ていた。

 そこで起きたのが、今回の出場権取り消しの決定である。韓国メディアの報道によれば、全北と同じ組に入っているオーストラリアのアデレード・ユナイテッドが問題提起したことがきっかけだったという。全北はこの裁定に納得できず、国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てをすることを決めている。もっとも、CASの決定が、ACLの開幕に間に合うかどうかは、不透明だ。

 全北にしてみてば、ACLの1次リーグの開幕まで1か月となった時点での出場資格取り消しの決定に不満もあるだろう。しかし、そもそもKリーグの決定が甘すぎたのであり、AFCの決定は、当然であると思う。

 12日の東亜日報で、元韓国代表で、現在サッカー解説者である李栄杓は、審判買収に対するKリーグの処分について、「賞罰委員会の決定で、Kリーグは世界で八百長が最もやりやすいリーグになった」と語り、今後似たような事件が必ず起きるとも予言している。

 プロ野球の八百長事件が繰り返し起きていることをみても、こうした事件に対し、競技団体だけでなく、社会的にも重く受け止めなければ、事件は繰り返される。

 今回のAFCの決定について、韓国のサッカー界はもっとも重く受け止めるべきであろう。今回、AFCが下した全北の出場資格取り消しの決定は、韓国のスポーツ界にとっては、むしろ意味のあるものであったと思う。

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 スポーツ行政を所轄し、事実上の平昌五輪担当大臣である趙允旋文化体育観光部長官が、職権乱用権利行使妨害などの疑いで逮捕された。崔順実ゲートの震源地でもある文化体育観光部は、一連の事件でガタガタである。問題が起きた時、組織委員会と行政を結ぶコントロールタワーが不在の状態になっている。開幕まで1年余りとなった平昌五輪にも、様々な影響が出てくるだろう。

 今回容疑のきっかけになったのは、朴槿恵政権に批判的な作家、映画監督、俳優といった文化人の「ブラックリスト」を作成し、支援の対象から外そうとしたことだ。

 韓国では、金大中政権の時代に、国が積極的に文化人や文化事業を支援するようになった。それが「韓流」を生む原動力にもなった。

 一般に作家や映画関係者などにはリベラル系の人が多く、金大中政権などいわゆる左派勢力とは相性が良かった。今回、朴槿恵大統領がどこまで関与したかはまだ分からないものの、こうした事態になり、朴政権下で作成された「ブラックリスト」に名前が載ることは、むしろ勲章になるのではないか。

 国からの文化支援は、「韓流」のきっかけにはなったものの、新たな対立の火種になる可能性がある。

 

 

 

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