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2016年12月21日 (水)

日本球界も注目した韓国左腕投手、KIA残留の事情

 このオフ、FAの資格を取得し、DeNAなど日本の球団も獲得に乗り出していた韓国プロ野球を代表する左腕投手・梁玹種が、1年契約、契約金7億5000万ウォン(約7500万円)、年俸15億ウオンの計225000万ウォンでKIAに残留することが決まった。金額と1年契約であることはやや意外であったが、もともと今年海外に出ることはないとは思っていた。

 梁は今年1012敗で、防御率は3.68。この防御率は全体で5位、韓国人投手の中では2位になる。しかも2年前は16勝、去年は15勝と、3年連続で2桁勝利を挙げている。

 また先発投手の合格基準である6回以上投げて自責点3以内に抑えるQS(クォリティスタート)は22回で全体のトップ。この3年間、韓国人投手の中では最も多く記録しており、安定感では群を抜いている。

 現在韓国のプロ野球は、極端な打高投低の状況にある。韓国プロ野球は10チームあるが、規定打席に達している打者で、3割打者は40人。日本では、セ・リーグが9人、パ・リーグが6人なので、その多さは半端でない。その一方で、防御率2点台はニパート(斗山)だけで、3点台も6人しかおらず、そのうち韓国人は梁を含め3人だけだ。セ・リーグでは2点台が5人、3点台も6人、パ・リーグでは2点台、3点台とも5人ずついる。近年、チーム数が8チームから10チームに急激に増やしたこともあり、選手層の薄い韓国では、投手難が深刻になっている。

 そのため、投手の報酬はどうしても高くなる。このオフのFAで最も注目されたサムスンの崔炯宇は、4年契約の契約金40億ウォン、年俸15億ウォン、計100億ウォンでKIAに移籍した。崔は今年打率、打点、安打数で1位という、韓国プロ野球を代表する強打者だ。

 一方FAで注目投手の1人であったサムスンの車雨燦は4年契約、総額95億ウォンでLGに移籍した。車には元の所属のサムスンが4年契約、総額100億ウォンを提示したというから、95億ウォンという数字に疑念が持たれている。それはともかく、車は今年126敗だが、防御率は4.73である。韓国を代表する左腕の1人であることは確かだが、それほど目立った存在ではない。しかし強打者の崔とほぼ同じ条件でFA移籍を果たしている。

 海外に移籍するとなると、外国での生活に適応するために、意外と経費がかかる。そのため、外国のチームの提示額が、国内のチームの提示額より少し多いくらいでは、割に合わないことがある。しかも梁の場合、韓国であれば絶対的なエースでも、海外に出ればローテーション入りが保証されているわけではない。したがって、梁がKIAに残留することは予想できた。問題は、なぜ1年契約かということだ。

 韓国メディアの報道によれば、再度FA資格を得るのは4年後だが、1年で海外を含めた移籍の自由が保証されているという。

 KIAは今年5位で、もう少し打線の援護などがあれば、梁はもっと勝ち星を挙げられたという。その点来年はFAで崔炯宇を獲得するなど、戦力は上がっている。KIAで優勝、あるいは、もう少し良い成績を残したうえで、海外進出を考えるということのようだ。さらに来年はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)もあるので、海外のスカウトにアピールする機会も増える。いずれにしても、梁の海外進出は来年の成績をみてということになる。

 ただ気になることが2つある。まず韓国プロ野球出身の先発投手で、日本のプロ野球で成功した人はほとんどいないということだ。

 中日の宣銅烈も、ヤクルトの林昌勇(現KIA)も、阪神の呉昇桓(現カージナルス)もいずれも抑えであった。メジャーでは、栁賢振(ドジャース)が201314年に14勝を挙げている。けれどもその柳もここ12年は肩、肘の故障に苦しんでいる。

 梁は最速が150キロを超え、スライダー、カーブ、チェンジアップなど多彩な変化球を駆使するが、四死球が79と多いのが気になる。

 また宣銅烈が中日に入った1996年頃、韓国のプロスポーツでは年俸1億ウォンの選手は、宣銅烈やサッカーの洪明甫など、ほんの一握りのスター選手に限られていた。金銭的には日本と韓国のプロ野球は、明らかな開きがあったが、今はそれほどでもなくなった。そのため条件面などで日本と韓国を天秤にかける選手も出てきた。

 実力の面でも日本と韓国で差が縮まったとはいえ、海外でプレーするのは容易でない。エージェントの交渉戦術ということもあるのだろうが、日本であれ、アメリカであれ、海外に出る選手は、その意志をはっきり示すべきだ。梁はやや掴みどころがない感じの選手であるがあるが、1年後もし海外進出を希望するのであれば、その意志の強さが成功のカギになるのではないか。

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 西鉄、巨人の投手として活躍した加藤初氏が亡くなった。引退後は、SKなど韓国のプロ野球でも投手コーチとして活動していたので、何度か話を伺ったことがある。

 現役時代は鉄仮面の異名があったが、非常に穏やかな人だった。北京五輪で日本を苦しめた金廣鉉は、入団当初から指導していた。素材の良さは認めながらも、「あの投げ方は肘を壊す。結果を残しているから、言っても聞かないんだよ」と心配していた。実際金は、肘の故障に苦しんでいる。

 最近の野球は、様々な変化球を駆使する投手がもてはやされているが、「投手で一番重要なのは、アウトコース低めにしっかり投げられるかどうかです」と、よく語っていた。高校野球を取材することが多くなったが、この言葉は大事にしている。

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