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2016年9月16日 (金)

韓国プロ野球の申し子・李承燁の日韓通算600号本塁打

 8月24日に韓国プロ野球の通算最多打点である1390打点を記録し、9月7日には韓国プロ野球で通算2000本安打を記録した李承燁(サムスン)が、14日、日韓通算600号本塁打を記録した。韓国での本塁打が441本、日本での本塁打が159本で、韓国で400本以上の本塁打を記録しているのは、李承燁だけ。日本でも600本を超えているのは王貞治と野村克也だけなので、偉大な記録である。

 もちろん、日韓通算にどれほどの意味があるのか、日本と韓国では球場の広さもレベルも違うという意見もあるだろう。しかし王貞治が本塁打記録を樹立している時、アメリカから球場の広さやレベルの違いを指摘する声があった時、日本人としていい思いをしなかったように、記録の評価を下げるのは、好ましいことではない。本塁打を600本も積み重ねることは、並大抵のことではない。

 李承燁は高校時代、好投手として知られていた。後に韓国代表やヤクルトの抑えとして活躍する同学年の林昌勇(現KIA)より、投手としての評価は高かった。

 その後肘を痛め、プロ野球では打者に専念する。サムスンに入団して間もない李承燁を指導した白仁天(東映など、日本のプロ野球で活躍)監督は、故障から回復した李承燁の投手としての素質にほれ込み、「給料を倍やるから投手もやらないか」と提案したほどだった。もちろん本人が断り、打者に専念したわけだが、若いころは、キャッチボールをしているのをみても、球のキレは抜群であった。

 李承燁は1999年に本塁打54本、2003年には本塁打56本と当時のアジア記録を樹立し、「国民的打者」と呼ばれるようになる。1999年はシドニー五輪の2003年はアテネ五輪のアジア予選が行われたが、いろいろなつてを頼って取材を申し込むと、「今は大統領より取材するのが難しい。無理だ」と断られた。しかし韓国に行って直接本人に依頼すると、短い時間ではあったが、あっさり応じてくれた。

 真面目で、練習熱心。大スターである李承燁は、常にそう言われてきた。ただし、真面目さゆえに、日本に来てうまく適応できなかった時、周りの話を聞きすぎて、余計調子を崩したこともあった。

 2004年から2011年まで千葉ロッテ、巨人、オリックスでプレーした日本時代は、41本の本塁打を放った年もあったが、故障もあり、不本意なものだった。それでも、2008年の北京五輪では、準決勝の日本戦や決勝のキューバ戦で本塁打を放ち、韓国の金メダル獲得に貢献した。

 韓国に戻って最初の2年は、目立った活躍ができず、限界もささやかれたが、2014年に本塁打32本、打率も3割を超え、存在感をアピールしている。

 李承燁は、高卒ルーキーが定着した第1世代になる。李承燁は今年で40歳。日本では広島の新井貴浩らと同世代となる。李承燁が生まれたのは、韓国でまだプロ野球が誕生していない、1976年。韓国では1982年からプロ野球が始まったが、中日でも活躍した宣銅烈ら、プロ野球誕生初期のスター選手はもちろん、李承燁より1学年上で、斗山や韓国代表の中心打者として活躍した金東柱、巨人でもプレーした3学年上の趙成珉らのように、大学を経てプロに行くのが当然視されていた。日本以上に学歴を重んじる韓国では、大卒は韓国社会で生きていくうえで必須であり、大学の野球部もまだ、それなりに力を持っていた。

 しかし李承燁の世代は、小学校に入ってからプロ野球が誕生し、野球を始める時は、プロ野球選手になることを前提にしていた。それに、プロ野球の誕生に伴い、アマチュア野球の存在感は薄まっていった。そのため、李承燁の世代あたりから、高校から即プロに入る選手が増えはじめ、今では、プロに入れなかった選手が大学に行くという感じになった。日本のように、高校の注目選手が、プロか大学か悩むということは、今ではあまりなくなっている。

 野球を始めた時から、プロを目指した第1世代である李承燁も、40代になり、いつまで現役を続けるかが注目されるようになってきた。それでも、まだ当分はできそうな雰囲気だ。いつまで続け、どう現役を終え、その後の人生をどう歩むか。どのような歩みをするにしても、後に続く世代の道標として期待されている存在であることは確かだ。

 

 

 

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