« タブレット端末とビデオ判定 | トップページ | 政治日程とともに語られる東京五輪の不幸 »

2016年6月 9日 (木)

コリジョンルール・衝突の責任は捕手なのか?走者なのか?

 今年の野球界で論争を呼んでいるのが、コリジョンルールの適応である。

 5月11日の巨人・阪神では、阪神の捕手・原口は、本塁をまたいでいるものの、ベース自体は空けていた。5月6日の西武・日本ハム戦では、暴投で本塁ベースカバーに入った西武の投手・高橋光成にコリジョンルールが適用された。

 高校野球では3年前からコリジョンルールは適用されているが、今年から、プロ野球に準じた基準が用いられている。春季都大会では、こんなケースがあった。

 一死三塁で、三ゴロ。三塁走者のスタートが良く、本塁に突っ込む。三塁手からの送球は、やや三塁ライン寄りではあったが、捕手が捕球して、タッチ。完全にアウトであったが、コリジョンルールでセーフになった。

 捕手は確かにベースをまたいでおり、コリジョンルールではセーフとなるだろう。しかし、三ゴロという至近距離では、捕手はベース上に立つしかないだろうし、送球が一塁方向に行かない限り、どうしてもベースをまたいだような形になる。守備側にすれば、どうしたらいいのか、というケースが増えてくる。

 そもそも、高校野球でコリジョンルールが用いられるようになったのは、2012年ソウルで開催されたU18世界選手権の第2ラウンドの日本・アメリカ戦がきっかけだった。この試合で勝った方が、優勝決定戦に進出するという重要な試合で、アメリカは2度にわたり、捕手の森友哉(大阪桐蔭→西武)に、強烈なタックルをした。アメリカ側の言い分では、森が本塁をふさいでいるということであったが、アメリカの選手は、最初から森をめがけてタックルしており、かなり悪質なプレーであった。この時は、アメリカの生還は認められたが、決勝戦のカナダ戦でも同様のプレーをし、この時は、タックルした選手が退場になっている。

 こうしたプレーをきっかけに、国際試合でのタックルプレーは禁止になり、ルール適応を呼び掛けた日本側は、自ら範を示すため、国内の高校野球の試合でも厳しく適応している。

 2013年のセンバツの県岐阜商・大阪桐蔭の試合では、9回大阪桐蔭が一打同点の場面で、中前安打により二塁から本塁を突いた走者が、捕手と激しくぶつかり、アウトになっている。

 この時のルールでは、捕手に激しくぶつかった走者がアウトになるが、捕手が、本塁上に立ちふさがっていたのも確かであり、今のルールなら、どうなっていたのだろう。

 捕手にしてみれば、走者の存在を意識しつつも、基本的には、送球を見ており、横から走者がぶつかってくれば、かなり危険である。逆に走者にしてみれば、捕手は防具を付けている。それに、チームによっては異なるものの、一般に捕手はがっしりした人が多く、衝突のリスクは、走者の方にあるということなる。

 どちらのリスクが大きいかは、ケースによって違うのだろうが、メジャーリーグでコリジョンルールが適用されるにあたり、捕手の側により厳しいルールになっている。

 日本ではタッチをかいくぐるようなスライディングを、少年野球の選手でもよくやるが、これまで国際大会をみてきた感じでは、アメリカは相手を強引に押しのけるプレーが主流であり、衝突しても、衝突される位置にいる選手が悪いということになる。

 2012年のU18の日本・アメリカ戦では、二塁から本塁を突こうとする走者が、三塁ベース近く(ベースの内側ではあったが)に立っていた三塁手に強引にぶつかり、走塁妨害を主張するケースが2度ほどあった。

 今年から日本でも適用された守備側に厳しいコリジョンルールは、こうしたアメリカの考えを反映したものが下地にあるのではないだろうか。

 野球の国際化の流れの中で、世界の潮流に従うのは当然のことである。しかし、日本の国内ですら、見解の分かれるプレーがある中で、国際的なコンセンサスは、ほとんど成立していないように思う。

 本塁上のクロスプレーは野球の醍醐味である一方で、野球は格闘技ではない。捕球動作など、故意でない場合も、どこまで厳しく適用するのか、まだまだ考えていくべきことは多い。WBCはメジャー主導であるにしても、年齢別の大会や、採用される可能性が高い2020年の東京五輪などの、国際大会では、どうするのか、国際的な適用基準を明確にしていくことも、重要な課題である。

 今年は試行錯誤となるのだろうが、高校野球の夏の大会や、日本シリーズなど、重要な場面で問題が起きないことを願いたい。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 平昌五輪、パラリンピックのマスコットが発表された。五輪の方は白虎のスホラン、パラリンピックの方はツキノワグマのパンダビで、白虎は、奈良のキトラ古墳などにも描かれている四神のうちの西の守り神となる。

 1988年のソウル五輪のマスコットのホドリも虎だったので、またも虎の出番である。ただスホラン、ものすごくシンプルなデザインだけに、どこかで見たことがあるような、ないよな。気のせいならば良いのだが。

 

 

 

 

« タブレット端末とビデオ判定 | トップページ | 政治日程とともに語られる東京五輪の不幸 »

スポーツ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2011181/65919787

この記事へのトラックバック一覧です: コリジョンルール・衝突の責任は捕手なのか?走者なのか?:

« タブレット端末とビデオ判定 | トップページ | 政治日程とともに語られる東京五輪の不幸 »