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2016年6月15日 (水)

政治日程とともに語られる東京五輪の不幸

 もうすぐリオ五輪が始まり、次の東京五輪に向けての機運が徐々に盛り上がってきてもいい時期だが、ゴタゴタ続きで落ち着かない。

 招致の時の知事であった猪瀬直樹知事の辞任、新国立競技場の建設、エンブレム問題、裏金疑惑などに続き、今度は舛添要一知事である。執筆の時点では、辞職は避けられず、後はどういう形になるかの問題のようだ。舛添知事にしてみれば、他の政治家にしても五十歩百歩のことはしているという思いがあるのかもしれないが、ここまで信頼を失っては、続投は無理であろう。

 13日の集中審議では、不信任決議が可決された場合、選挙がリオ五輪、パラリンピックと重なることを挙げ、不信任案の提出をリオ五輪後まで待ってほしいという趣旨の発言をしている。また今辞めると、4年後の東京五輪の時期と知事選挙が重なるという意見もあるという。政治的な都合に、オリンピックが絡んでくるというのは、不幸と言うしかない。

 そもそも舛添知事は、リオ五輪後に辞めるつもりであるのなら、リオには行かず、今すぐ辞めるべきである。リオで、次期開催都市の自治体の首長がやるべきは、閉会式で五輪旗を受け取ることだけではない。

 次期開催都市をアピールし、IOCなど、関係者との親交を深め、五輪に訪れる各国のVIPらと都市外交を繰り広げるのも、重要な責務である。4年後まではともかく、当面は開催都市のトップとして、大会準備の中心を担う人物でなければ、誰がまともに相手にするのだろうか。

 もっともブラジルもルセフ大統領が弾劾され、五輪期間中も弾劾裁判は続いている模様だ。こうしてみると、政治の都合に五輪を結びつける必要はないだろう。

 これまで、五輪が政治に利用され、五輪が政治を動かしたことがあった。

 民主化運動を軍隊が弾圧した光州事件など、政権成立過程に後ろめたさがある全斗煥政権は、1986年のアジア大会と88年の五輪のソウル開催を背景に、スポーツ、スクリーン、セックスの3S政策を推し進めた。

 ところが29年前の今頃、あるソウル大生の拷問致死事件の発覚をきっかけに、大規模な民主化運動が起きた。全斗煥政権としては、戒厳令を出して、軍隊によって徹底的に弾圧する可能性もあった。しかし、光州事件のような流血事件を起こせば、翌年に迫った五輪開催そのものが危ぶまれた。その結果、次期大統領候補であった盧泰愚により、それまで代議員選挙だった大統領選挙が、国民が直接選ぶ直選制を実施するなどとする、いわゆる民主化宣言が出され、韓国は民主化に大きく踏み出した。

 ソウル五輪は、全斗煥による軍事政権の延命にも寄与したし、民主化の促進にも寄与した。良くも悪くもそれだけ、オリンピックの力は特別だった。

 果たして、今の五輪にそれだけの力があるのだろうか。舛添問題などで、五輪が出されるたびに、五輪の価値が下がっているような気がする。13日の集中審議では、東京ドームの巨人戦を家族で観戦した際に、公用車を使った問題について舛添知事は、「プロ野球が五輪種目になる可能性」を挙げている。しかし、五輪種目の候補になっているのは、プロ野球ではなく、野球・ソフトボールである。もし五輪のためというのなら、昨年開催されたプレミア12やU18W杯、それにソフトボールの試合を視察するべきだろう。

 さらに舛添知事問題からは離れるが、福島原発の避難指示の解除も、東京五輪の開催に合わせて進められているという話もある。これも、まず五輪ありきなら本末転倒である。

 韓国では韓進グループ会長でもある趙亮鎬平昌五輪組織委員会委員長がグループ企業の経営悪化で辞任し、元産業資源部長官である李熙範を新委員長に据えた。スポンサーを意識しての人選だろうが、新任の委員長にはスポーツ行政の経験がない。

 リオ、平昌、東京と、五輪開催地はトラブル続きである。そうした騒動の中で、主役であるはずのスポーツの影が薄い。五輪はスポーツを超越したモンスターのように発展してきたが、この期に、もう一度足元を見つめ直す時ではないか。

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